しかしながら、フィングルトン氏が正論を述べている部分を見つけることは重要だ。日本がある意味で理想的社会である部分だ。
日本化も悪くない
信じられないほど安全で清潔、効率的で確実性が高く、外国人には驚きの尽きない場所だ。結構平等主義の国であり、生活水準は世界でも最高水準で、平均寿命は世界最長。どこへ行ってもインフラは整っている。さらに、日本料理は世界一だ。
米国がある意味で、いつの日か日本になれるものならなりたいと考えていることも指摘しておく必要がある。「日本化」はあたかも世界の終わりのように言われている。失われた数十年、経済を衰退させる膨大な負債水準、永久に続くゼロ金利、金融の混乱、刹那的な諦めの感情。こられはどれも事実だが、懐疑主義者の予想に反し日本は決して崩壊しない。
犯罪が急増することもなく、ホームレスが街にあふれることもない。アラブの春のような社会の不安定化は決して起こらない。勤労者と企業はただ適応し、貯蓄で食いつなぐ。日本は「どうにかやっていく」という概念に全く新しい意味を与えた。
米国に同じことができるだろうか。私は大いに疑わしいと思う。20年間の経済停滞を日本が乗り切れる鍵は、約15兆ドルの家計貯蓄だ。米国民の多くは収入が途切れれば2カ月と生き延びられないが、日本人は全く違う。
見えない繁栄
しかしフィングルトン氏の正解はここまでだ。同氏は1995年に「Blindside: Why Japan Is Still on Track to Overtake the U.S. Bythe Year 2000(邦題:見えない繁栄システム―それでも日本が2000年までに米国を追い越すのはなぜか)」という本を出している。だが今日では、日本の将来についての強気派にとっての盲点は、昨日うまく行ったやり方が明日もうまく行くと彼らが考えていることだ。
1990年ごろの資産バブル破裂以来、政策当局者らは戦後のブームを生きながらえさせることに必死になってきた。何年もの間、評論家たちは日本のいわゆる「ゾンビ」企業のことを心配していたが、本当のゾンビは日本経済の基本戦略だ。
日本の成長を生み出しているのはただ、世界最大の政府の借金と中央銀行が供給するコストゼロのマネーだ。日本株式会社を生かしているのはその活力ではなく、経済のステロイドだとクルーグマン教授は論じる。日本には大規模な規制緩和と女性の労働力の活用、移民の受け入れなどが必要だが、日本の政治家はそのいずれもしていない。
アキレス腱
変化を嫌う風潮は依然として根強い。これが日本の「アキレス腱」だ。オリンパスの不祥事は仲間内の関係に守られた縁故主義がいまだに生き残っていることを示したし、福島第一原発事故での東京電力の対応は世界経済の常識から外れた日本の危険な上意下達ぶりを露呈した。日本のジャーナリズムは弱腰で、放射能レベルなど政府や大企業が好まない質問をする記者は排除されかねないので大方はおとなしくしている。
それでも、中国の存在がなければ日本はあと数年、ユニークなままでいられただろう。しかし、豊かになろうとする13億人のエネルギーが、それを不可能にする。アジアの新興国がコスト高の日本市場を侵食する中で、デフレは日本を去らないだろう。
欧州の次にやってくる債務危機を考える時、投資家は米国や中国に目を向けがちだ。日本国債が売られることを想定した取引はあまり利益が出ていない。しかし今年、日本は不吉な節目に達した。1月9日の成人の日、20歳を祝ったのはわずか120万人と、1970年の半分になった。人口減少は、国内総生産(GDP)の2倍を超える12兆ドル規模の債務の返済を難しくする。
ノーベル経済学賞をもらっていなくても、国民がいなくなってしまえば、国がデフォルト(債務不履行)することくらいは理解できる。(ウィリアム・ペセック
【コラム】「日本が模範だなんて」クルーグマン教授大反論-ペセック - Bloomberg
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